コラム記事
うつ病・適応障害で休職したら…? 知っておきたい傷病手当金のこと
執筆者
MEWS職員
MEWSは2023年12月8日に開所し、就労を希望する方一人ひとりに合わせたカリキュラムを作成し、就職活動までサポートしています。
MEWSは2023年12月8日に開所し、就労を希望する方一人ひとりに合わせたカリキュラムを作成し、就職活動までサポートしています。
「仕事に行こうとすると体調が悪くなる…」「職場での人間関係が辛くて会社に行けない…」
もしかしたら、それはうつ病や適応障がいのサインかもしれません。
真面目で責任感が強い人ほど、無理をしてしまいがちです。
そして、心身に不調を感じながらも「休んだら迷惑をかけてしまう」「経済的に不安だ…」と、休職をためらっていませんか?
そんな時、知っておいてほしいのが「傷病手当金」の存在です。
これは、病気やケガで休業中の経済的な不安を支えるための制度です。
この記事では、傷病手当金の受給条件や申請方法、注意点などをわかりやすく解説していきます。休職せざるを得ない状況でも、安心して治療に専念できるよう、一緒に確認していきましょう。
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傷病手当金をうつ病で休職中にもらうための基礎知識
傷病手当金とは?
傷病手当金とは、病気やケガで会社を休む場合に、経済的な不安を軽減するために支給される制度です。
健康保険に加入している方が対象で、病気やケガが原因で働くことができず、給与が支払われない場合に、最長1年6ヶ月間、給与の約3分の2を受け取ることができます。
うつ病における傷病手当金の必要性
うつ病や適応障害は、目に見えにくい病気であるため、周囲の理解を得にくいケースも少なくありません。
休職期間中は収入が減少し、経済的な不安から症状が悪化してしまう可能性もあります。
傷病手当金を受給することで、治療に専念し、安心して休養をとることができ、経済的な不安を軽減することができます。
申請に必要な条件と書類
傷病手当金を受給するには、いくつかの条件と必要な書類があります。
主な条件
- 会社員や公務員として健康保険に加入していること
- 病気やケガのために働くことができず、会社から給与が支払われていないこと
- 仕事を休んでいる期間が連続して3日間以上あること (待機期間)
- 医師から就労が困難であると診断されていること
主な必要書類
- 傷病手当金支給申請書
- 医師の診断書 (証明書)
- 会社が発行する証明書 (休業期間、給与の支払い状況などが記載されたもの)
うつ病で傷病手当を受給するための申請手続き
傷病手当の支給申請の流れ
- 医師の診断を受ける
- まずは、医療機関を受診し、医師の診断を受けましょう。
この際、傷病手当金の申請を検討していることを医師に伝え、診断書を作成してもらうように依頼します。
- 会社に連絡
- 診断結果が出たら、会社に連絡し、休職の必要性と傷病手当金の申請を検討していることを伝えましょう。
会社によっては、傷病手当金の申請手続きについて独自の規定を設けている場合がありますので、確認が必要です。
- 必要書類の準備
- 申請に必要な書類を揃えます。 会社から受け取る書類もありますので、事前に確認しておきましょう。
- 申請書の提出
- 必要書類が揃ったら、加入している健康保険組合または全国健康保険協会の都道府県支部へ申請書を提出します。 郵送での提出も可能です。
医師の診断書とその書き方
医師の診断書は、傷病手当金を受給できるかどうかを判断する上で重要な書類です。
診断書には以下の項目が記載されます。
- 病名
- 発症日
- 治療内容
- 就労可能な期間
- 仕事内容に関する意見
医師によっては、傷病手当金の申請に慣れていない場合もあるため、事前に申請に必要な事項を伝えておくことが大切です。
重要な書類のリストと提出方法
主な提出書類は以下の通りです。
- 傷病手当金支給申請書: 健康保険組合または全国健康保険協会のホームページからダウンロードできます。
- 医師の診断書: 医師に作成を依頼します。
- 会社が発行する証明書: 会社に作成を依頼します。
- 健康保険証のコピー
- 振込先口座のわかるもの (通帳など) のコピー
- 印鑑
提出方法は、健康保険組合または全国健康保険協会の窓口に持参するか、郵送で送付します。
詳しくは、加入している健康保険組合または全国健康保険協会にお問い合わせください。
傷病手当金の受給期間と金額
傷病手当金はどれくらいもらえるのか?
傷病手当金の金額は、原則として、休業前の1日あたりの標準報酬日額の3分の2が支給されます。
ただし、上限額が設定されており、2023年4月1日現在では、1日あたり19,350円となっています。
受給できる期間の条件と制限
傷病手当金の受給期間は、原則として支給開始日から最長1年6ヶ月間です。 ただし、病気やケガの種類によっては、受給期間が延長される場合があります。
支給期間の上限延長
- 特定の疾病 (がん、結核など)
- 障害等級1級または2級の障害が残った場合
これらの延長制度を利用するには、医師の診断書などの追加書類が必要となります。
経済的負担を軽減するための工夫
傷病手当金を受給していても、生活費が不足する場合は、他の公的支援制度の利用を検討しましょう。
その他の経済的支援制度
- 高額療養費制度
- 医療費の自己負担額が高額になった場合に、一定額を超える部分を支給する制度
- 傷病特別支給金
- 傷病手当金の支給期間が終了した後も、病気やケガが治癒せず、引き続き療養が必要な場合に支給される制度
これらの制度は、条件を満たせば利用することができますので、必要に応じて窓口に相談してみましょう。
傷病手当金の審査と決定の流れ
審査にかかる期間とその要因
傷病手当金の申請書を提出してから、実際に支給が決定されるまでには、通常1~2ヶ月程度の期間がかかります。
審査期間に影響する要因
- 提出書類に不備がないか
- 医師の診断書の内容
- 会社から提出された書類の内容
申請が通らない場合の対策
申請が却下される場合もあります。
主な却下理由
- 医師の診断書に就労が困難であると判断できるだけの内容が記載されていない
- 会社が提出した書類と申請内容に食い違いがある
- 傷病手当金の受給資格を満たしていない
申請が却下された場合は、その理由を確認し、必要があれば再申請を行います。
審査基準とは?
傷病手当金の審査は、加入している健康保険組合または全国健康保険協会が行います。
主な審査基準
- 傷病手当金の受給資格を満たしているか
- 提出書類に不備がないか
- 医師の診断書の内容が傷病手当金の支給に値すると認められるか
審査基準は、健康保険組合や全国健康保険協会によって異なる場合があります。
うつ病からの復職を目指すために
復職支援制度の利用方法
傷病手当金を受給しながら、復職を目指す方には、様々な支援制度が用意されています。
主な復職支援制度
- リワークプログラム
- うつ病などのメンタルヘルス不調を抱える方を対象とした、復職に向けたプログラムを提供する施設
- 就労移行支援事業所
- 障害や難病を抱える方の就職をサポートする施設
- 障害者雇用枠
- 企業が一定割合以上の障害者を雇用することを義務付けられている制度
これらの制度を利用することで、スムーズに職場復帰を目指せるようにサポートを受けることができます。
メンタルヘルスを維持するためのポイント
復職後も、メンタルヘルスを維持するためには、以下の点に注意することが大切です。
- 無理のないペースで仕事をする
- 焦らずに、徐々に仕事量を増やしていくようにしましょう。
- 休養をしっかりとる
- 睡眠時間をしっかりと確保し、心身ともに休ませる時間をつくりましょう。
- 相談できる相手を見つける
- 職場の上司や同僚、家族、友人など、信頼できる相手に悩みや不安を相談するようにしましょう。
職場復帰時の注意事項
職場復帰時には、以下の点に注意しましょう。
- 主治医と相談の上で、復帰時期や働き方について決める
- 職場の上司に、病気のことや配慮が必要なことを伝えておく
- 無理せず、自分のペースで仕事を進める
- 体調が優れないときは、無理をせず休む
傷病手当金のもらえないケース
もらえない理由と具体例
傷病手当金は、以下の様なケースでは受給できません。
- 病気やケガが原因ではなく、自己都合で退職した場合
- 妊娠・出産を理由に休業している場合
- 労災保険の給付対象となる病気やケガの場合
- 無断欠勤を続けている場合
- 就労可能な状態にもかかわらず、医師の診断書を偽造するなどして不正に受給しようとした場合
退職後の手当金の取り扱い
退職後も傷病手当金の受給資格期間が残っている場合、継続して受給することができます。
ただし、退職後も継続して国民健康保険に加入する必要があります。
障害年金との違いについて
傷病手当金は、病気やケガで働けない期間に支給されるのに対し、障害年金は、病気やケガが原因で障害が残った場合に支給されます。
傷病手当金の制度を利用した体験談
実際の受給者の声
Aさん (30代男性、うつ病)
「仕事で強いストレスを感じ、出社できなくなってしまいました。 傷病手当金のおかげで、治療に専念することができ、経済的な不安も軽減されました。 焦らずに、自分のペースで回復していくことが大切だと感じています。」
Bさん (40代女性、適応障害)
「新しい部署に異動後、人間関係に悩み、適応障害と診断されました。 傷病手当金を受給することで、経済的な不安なく休養することができました。 復職後は、会社と相談し、働き方を見直すことができました。」
成功例と失敗例の比較
- 成功例
医師に傷病手当金の申請を検討していることを伝え、必要な情報が記載された診断書を提出することができた。
- 失敗例
医師に傷病手当金の申請を検討していることを伝えなかったため、就労が困難であると判断できるだけの情報が記載されておらず、申請が却下された。
受給プロセスを乗り越えた方々のアドバイス
- 医師や会社には、早めに相談すること
- 必要な書類は、漏れなく提出すること
- わからないことがあれば、健康保険組合などに問い合わせること
仕事と傷病手当金をマネジメントする方法
フルタイムとパートタイムの選択肢
復職する際には、フルタイム勤務だけでなく、パートタイム勤務も選択肢の一つです。
自分の体調や生活スタイルに合わせて、無理のない働き方を選びましょう。
転職を考える際のポイント
転職を検討する際には、以下の点に注意しましょう。
- 病気のことや治療について、オープンに話せる会社を選ぶ
- 残業が少ないなど、働き方に配慮してくれる会社を選ぶ
- メンタルヘルス対策に力を入れている会社を選ぶ
就労移行支援事業所の活用法
就労移行支援事業所では、就職活動のサポートだけでなく、職場定着のためのサポートも受けられます。 転職活動が不安な方は、利用を検討してみましょう。
家族や周囲のサポートを得る重要性
家族ができる支援の方法
家族は、病気の理解者として、温かく見守ることが大切です。
- 話を聞いてあげる
- 患者さんの気持ちを否定せずに、じっくりと話を聞いてあげましょう。
- 休養を促す
- 睡眠をしっかりとれるように、静かな環境を整えてあげましょう。
- 治療のサポートをする
- 通院の付き添いや服薬の管理など、治療を継続できるようサポートしましょう。
相談できる窓口や専門機関
- 精神保健福祉センター
- 精神保健に関する相談窓口
- 保健所
- 健康に関する相談窓口
- ハローワーク
- 就職に関する相談窓口
- NPO法人
- うつ病や適応障害に関する相談窓口
ストレス軽減のためのコミュニケーション方法
- 否定的な言葉は避ける
- 「甘えている」など、患者を追い詰めるような発言は控えましょう。
- 相手のペースに合わせて話す
- 一方的に話すのではなく、相手のペースに合わせてゆっくりと話を聞いてあげましょう。
- 感謝の気持ちを伝える
- 些細なことでも、「ありがとう」と伝えることで、患者を安心させてあげましょう。
傷病手当まとめ
うつ病や適応障害で休職する際には、傷病手当金制度を利用することで、経済的な不安を軽減し、治療に専念することができます。
申請手続きや受給資格など、事前にしっかりと情報収集を行い、安心して休養できる環境を整えましょう。