就職・転職にも影響大! 障害者手帳と働き方改革

「障害者手帳を取得すると就職に不利になるのではないか…」
そう不安に思っている方もいるかもしれません。しかし、障害者手帳は就職活動において、自分に合った働き方を見つけるための有効なツールとなりえます。
この記事では、障害者手帳が就職活動に与える影響について、メリット・デメリット、活用方法、企業側の視点などを交えながら詳しく解説していきます。
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執筆者
MEWS職員
MEWSは2023年12月8日に開所し、就労を希望する方一人ひとりに合わせたカリキュラムを作成し、就職活動までサポートしています。
MEWSは2023年12月8日に開所し、就労を希望する方一人ひとりに合わせたカリキュラムを作成し、就職活動までサポートしています。
障害者手帳の取得が就職に与える影響

障害者手帳とは?その種類と目的
障害者手帳とは、身体障がい、知的障がい、精神障がいのある方が、障がいを理由とする差別の解消と、社会参加の促進を図るために交付される手帳のことです。
手帳の提示により、税金の控除や公共交通機関の運賃割引などのサービスを受けることができます。
障がいの種類や程度によって、手帳は下記の3種類に分けられます。
- 身体障害者手帳- 身体の機能障がいに応じて1級から6級までの等級があります。
 
- 療育手帳(知的障害者用)- 知的障がいの程度に応じてA判定(最重度)からB判定(軽度)までの判定があります。
 
- 精神障害者保健福祉手帳- 精神障がいの程度に応じて1級から3級までの等級があります。
 
手帳の交付を受けるためには、各都道府県や政令指定都市に設置されている窓口で申請する必要があります。申請には、医師の診断書や住民票などの書類が必要です。
障害者手帳の取得方法と必要書類
障害者手帳を取得するには、まず、お住まいの市区町村の窓口で申請に必要な書類を確認しましょう。
必要な書類は、障がいの種類や程度、お住まいの自治体によって異なりますが、一般的には以下のものが必要となります。
- 申請書- 各市区町村の窓口で入手できます。
 
- 医師の診断書- 障害者手帳を取得するために必要な診断項目が記載された専用の診断書があります。
 
- 写真 - 縦4cm×横3cmの証明写真が2枚必要です。
 
- 印鑑- 認印で構いません。
 
- 本人確認書類- 運転免許証、マイナンバーカードなど
 
- 住民票- 個人番号(マイナンバー)の記載がないもの
 
申請書類が揃ったら、お住まいの市区町村の窓口に提出します。
その後、審査や医師の意見照会などを経て、手帳の交付が決定されます。
障害者手帳を取得するメリット・デメリット
障害者手帳を取得する主なメリットとしては、以下の点が挙げられます。
- 税金の控除- 所得税、住民税、自動車税などが軽減されます。
 
- 公共交通機関の運賃割引 - 電車やバスなどの運賃が割引になります。
 
- 公共施設の利用料金割引- 美術館や博物館などの入場料が割引になります。
 
- NHK受信料の免除- 一定の条件を満たせば、NHK受信料が免除されます。
 
- 障害者雇用枠での就職活動- 障害者雇用枠で就職活動を行う際に、企業に障がいの内容を理解してもらいやすくなります。
 
- 合理的配慮の請求- 就職活動や就労時に、企業側に働きやすい環境整備を求めることができます。
 
一方で、デメリットとしては下記のような点が考えられます。
- 偏見や差別を受ける可能性- 手帳の提示によって、心ない偏見や差別を受ける可能性があります。
 
- 就職活動で不利になる可能性- まだ一部の企業によっては、障害者雇用に積極的でない場合があり、採用選考で不利になる可能性もゼロではありません。
 
- 個人情報の保護- 手帳の提示によって、自身の障がいに関する情報が企業に知られることになります。
 
障害者手帳を取得するかどうかは、個人の状況や価値観によって判断が分かれるところです。
メリット・デメリットを比較検討し、自分にとって最適な選択をすることが重要です。
障害者雇用の制度と企業の責任

日本では、障害者雇用促進法という法律に基づき、企業には障がい者を積極的に雇用する義務が課せられています。
障害者雇用促進法とは?
障害者雇用促進法は、障がいのある人が能力や適性に応じた職業に就き、経済的に自立し、社会参加を実現することを目的とした法律です。
この法律では、企業に対して以下の2つの義務を課しています。
- 法定雇用率の達成義務- 企業は、従業員数の一定割合以上を障がい者で雇用しなければなりません。
 
- 合理的配慮の提供義務- 企業は、障がい者が働きやすいように、職場の環境や業務内容などを調整する必要があります。
 
企業が障害者雇用するメリット
企業が障がい者を雇用するメリットは、以下のようなものがあります。
- 企業イメージの向上- 障害者雇用に積極的に取り組む姿勢を示すことで、企業イメージの向上に繋がります。
 
- 人材の多様化- 障がい者ならではの視点や能力を活かすことで、組織全体の活性化に繋がります。
 
- 社会貢献- 障がい者の社会参加を促進することは、企業の社会的責任(CSR)を果たすことにもなります。
 
雇用に関する支援制度の活用方法
障害者雇用を促進するために、国や自治体では様々な支援制度が用意されています。
- 助成金制度- 障がい者を雇用する際に、企業に対して助成金が支給されます。
 
- 職場定着支援- 障がい者が安心して働き続けられるよう、職場環境の整備や相談体制の構築を支援します。
 
- 職業訓練- 障がい者が就職に必要な知識や技能を習得するための職業訓練を実施しています。
 
就職活動における障害者手帳の活用方法

障害者手帳は、就職活動においても有効活用することができます。
求人サイトでの応募のコツ
多くの求人サイトには、障害者雇用枠の求人情報が掲載されています。
これらのサイトを利用する際は、障害者手帳を保有していることを明記し、希望する職種や勤務条件などを具体的に伝えましょう。
面接での障害者手帳の取り扱い
面接を受ける際に、障害者手帳の提示を求められた場合は、正直に提示しましょう。
その際、自身の障がいに関する情報や、仕事をする上で必要な配慮があれば、具体的に伝えておくことが大切です。
就職活動に役立つ支援機関の紹介
障害者手帳を持っている方の就職活動をサポートする支援機関は数多くあります。
- ハローワーク- 障害者専門の相談窓口があり、求人情報の提供や就職活動のアドバイスを受けることができます。
 
- 障害者就業・生活支援センター - 就職に関する相談だけでなく、生活面の相談にも乗ってもらえます。
 
- 就労移行支援事業所- 個人のアセスメントを通じて、就職に向けた精神面の構築、就職活動の準備、就職後の定着まで、長期的なサポートを受けることができます。
 
これらの機関を積極的に活用することで、よりスムーズな就職活動を進めることができます。
企業が行う合理的配慮とは?

合理的配慮とは、障がい者が他の労働者と平等に雇用、就労、能力開発、職場環境向上などの機会を享受できるように、企業側が環境や制度を調整することです。
合理的配慮の具体例と実施方法
合理的配慮は、障がいの種類や程度、職種や職場環境によって様々ですが、具体的には次のようなものが挙げられます。
- 勤務時間の変更- 始業・終業時間の変更や、休憩時間の分割など。
 
- 勤務場所の変更- 騒音が少ない場所への移動、車椅子で移動しやすい環境整備など。
 
- 業務内容の変更- 障がい特性に配慮した作業内容への変更、補助ツールの導入など。
 
- コミュニケーション手段の変更- 筆談や電子メールの活用、手話通訳の導入など。
 
- 採用試験の配慮- 試験時間の延長、別室での受験など。
 
合理的配慮が求められる場面
合理的配慮は、就職活動の段階から求められます。
- 採用活動- 応募書類の提出方法の変更、面接時の配慮など。
 
- 採用後- 職場環境の整備、業務内容の調整など。
 
- 能力開発- 研修やセミナーへの参加、資格取得のサポートなど。
 
企業が合理的配慮を行うメリット
合理的配慮は、企業にとっても多くのメリットがあります。
- 優秀な人材の確保- 障がい者の中には、高い能力やスキルを持った人が多くいます。
 
- 従業員のモチベーション向上- 多様な人材が活躍できる環境は、従業員のモチベーション向上に繋がります。
 
- 企業イメージの向上- 社会的な責任を果たす企業として、イメージアップに繋がります。
 
障害者手帳と職場環境

障害者手帳を持っている方が、安心して働き続けるためには、職場環境の理解と協力が不可欠です。
障害者手帳保持者が働きやすい職場とは
- 障がい者に対する理解がある- 障がいに対する偏見がなく、個性を尊重する風土がある職場。
 
- コミュニケーションが円滑- 報連相がしっかりとしており、困ったことがあれば相談しやすい雰囲気がある職場。
 
- 業務内容が明確- 業務内容や役割分担が明確で、安心して仕事に取り組める職場。
 
- 合理的配慮が提供される- 必要に応じて、勤務時間や業務内容などの調整が柔軟に対応してもらえる職場。
 
職場での理解を得るためのアプローチ
職場に障害者手帳を持っていることを伝える場合は、以下の点に注意しましょう。
- 伝えるタイミング- 入社前に伝えるか、入社後に伝えるかは、状況に応じて判断します。
 
- 伝える相手- まずは、直属の上司に伝えるようにしましょう。
 
- 伝え方- 障がいの内容や程度、仕事をする上で必要な配慮などを具体的に伝えましょう。
 
障害者手帳の情報を会社に報告する際の注意点
- 会社に報告する義務- 障害者手帳を持っていること自体を報告する法的義務はありません。
 
- 情報提供のメリットとデメリット- 情報提供によって得られるメリットとデメリットをよく考えた上で、判断しましょう。
 
- プライバシーの保護- 会社は、障がいに関する情報を適切に管理し、本人の同意なく第三者に開示してはいけません。
 
精神障害者手帳の取得とその後の仕事

精神障害者手帳は、精神障がいのある方が、社会生活を送る上で様々なサポートを受けるために活用できる手帳です。
精神障害者手帳の必要性と特徴
精神障がいは、目に見えにくいため、周囲の理解を得にくいという側面があります。
精神障害者手帳を保有することで、公的な支援を受けやすくなるだけでなく、周囲に自身の状況を理解してもらいやすくなるというメリットがあります。
精神障害者手帳を持つことの影響
精神障害者手帳を持つことで、就職活動においては、障害者雇用枠での応募が可能になるなど、新たな選択肢が広がります。
精神障害者向けの支援制度
精神障害者の就労を支援するために、様々な制度が用意されています。
- 就労移行支援事業- 就職活動の支援や、職場定着に向けた訓練などを受けられます。
 
- 精神障害者雇用納付金制度- 企業は、障がい者を一定割合以上雇用することが義務付けられています。
 
- ジョブコーチ支援- 職場にジョブコーチが派遣され、業務指導や職場環境の調整などのサポートを受けられます。
 
転職活動時の障害者手帳の取り扱い

転職活動においても、障害者手帳を有効活用することができます。
転職市場における障害者手帳の位置づけ
近年、企業の障害者雇用に対する意識は高まっており、転職市場においても、障害者手帳を持つ人材への関心が高まっています。
転職先へ障害者手帳を提出する際のポイント
転職先へ障害者手帳を提出する際には、以下の点に注意しましょう。
- 提出のタイミング- 応募書類に明記するか、面接時に伝えるかなど、状況に応じて判断します。
 
- 伝える内容- 障がいの内容や程度、仕事をする上で必要な配慮などを具体的に伝えましょう。
 
- 企業側の理解- 企業が障害者雇用に積極的であるか、合理的配慮を提供してくれるかどうかを確認しましょう。
 
成功する転職活動のためのアドバイス
転職活動を成功させるためには、以下の点に留意することが大切です。
- 自分の強みをアピールする- 障がいがあることで、逆に強みとなるスキルや経験があるかもしれません。
 
- キャリアプランを明確にする- 就職・転職を通して、どのようなキャリアを築きたいのかを明確にしましょう。
 
- 積極的に情報収集する- 転職市場の動向や、企業の情報などを収集しましょう。
 
就労移行支援を活用する方法

就労移行支援とは、障がいを持つ方が一般企業への就職を目指し、必要な知識やスキルを身につけるための訓練やサポートを提供するサービスです。
就労移行支援の基本知識
就労移行支援事業所は、国から認可を受けた民間企業や団体などが運営しています。
利用期間は原則2年間で、費用は原則無料です。
就労移行支援施設での活動内容
- 生活訓練- 生活リズム、アンガーマネジメント、ワイフワークバランスなどの就職に向けた私生活の考え方を受けられます。
 
- 職業訓練- パソコン操作、ビジネスマナー、コミュニケーションスキルなどの訓練を受けられます。
 
- 職場実習- 実際の企業で実務経験を積むことができます。
 
- 就職活動支援- 履歴書の書き方、面接対策などのサポートを受けられます。
 
就労移行支援を受けるメリット
- 就職に必要なスキルを習得できる。
- 就職活動のサポートを受けられる。
- 就職後の職場定着のサポートを受けられる。
コミュ障改善に効果的なトレーニングとは? 就労移行支援で身につくスキル
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障害者手帳を持つ仕事の種類

障害者手帳を持っている方が活躍できる仕事は多岐に渡ります。
障害者が活躍できる職種一覧
- 事務職- データ入力、書類作成、電話対応など
 
- IT関連職- プログラマー、Webデザイナー、システムエンジニアなど
 
- 販売・サービス職- 販売員、レジ担当、飲食店スタッフなど
 
- 製造・軽作業職- 工場内作業、ピッキング、梱包など
 
障害者手帳保持者向け求人の実態
近年、企業の障害者雇用に対する意識の高まりから、障害者手帳保持者向けの求人は増加傾向にあります。
特に、IT関連職や事務職の求人が多く見られます。
仕事選びでのポイントと注意点
- 自分の興味や適性に合った仕事を選ぶ- 障がいの有無に関わらず、長く働き続けるためには、自分にとってやりがいを感じられる仕事を選ぶことが大切です。
 
- 企業の障害者雇用への理解度を確認する- 合理的配慮を提供してくれる企業かどうか、事前に確認しておきましょう。
 
- 焦らずに、じっくりと仕事探しをする- 自分に合った仕事が見つかるまで、焦らずに、じっくりと時間をかけて探しましょう。
 
障害者手帳のまとめ

障害者手帳は、就職や転職において、必ずしも不利に働くものではありません。
むしろ、自身に合った働き方を見つけるための有効なツールとなりえます。合理的配慮や働き方改革によって、障がいのある方も働きやすい環境が整いつつあります。
手帳の取得を迷っている方は、メリット・デメリット、企業側の視点、就労移行支援などの支援制度などを理解した上で、ご自身にとって最適な選択をしてください。
就職・転職活動中の方は、手帳の活用方法や企業選びのポイントを参考に、自信を持って活動を進めていきましょう。
障がいのある方も、自分の能力や個性に合った仕事を見つけ、社会で活躍できる未来を目指しましょう。
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