コラム記事
就労移行支援事業所MEWSが考える、インクルーシブ教育と就労支援の連携
執筆者
MEWS職員
MEWSは2023年12月8日に開所し、就労を希望する方一人ひとりに合わせたカリキュラムを作成し、就職活動までサポートしています。
MEWSは2023年12月8日に開所し、就労を希望する方一人ひとりに合わせたカリキュラムを作成し、就職活動までサポートしています。
当事業所は、インクルーシブ教育と就労支援の連携を通じて、誰もが共に学び、働ける社会を目指しています。
個々の特性に応じたキャリアプランを策定し、企業との協力で働きやすい職場環境を整備。さらに、就労後も孤立を防ぐコミュニティ支援を行います。
地域や他団体とも連携し、多様性を尊重する社会の実現に努めています。
\相談は小田原の『就労移行支援事業所MEWS』へ/
インクルーシブ教育とは何か
インクルーシブ教育とは、障がいの有無に関わらず、すべての子どもたちが、地域にある通常の学校で共に学ぶことを目指す教育の考え方です。
これは単に子どもたちを同じ場所に集めるということではなく、それぞれの子どものニーズに合わせた学習環境や支援を提供し、すべての子どもたちが質の高い教育を受け、社会参加できることを目指すものです。
インクルーシブ教育の定義
ユネスコの定義では、「インクルーシブ教育とは、すべての子どもたちの多様なニーズに応えるため、教育内容、体制、構造、戦略、そして地域における学校に焦点を当てた共通のビジョンを構築するプロセス」とされています。
インクルーシブ教育の目指す理念
インクルーシブ教育は、「すべての子どもに学ぶ権利がある」という理念に基づいています。
障害のある子どもも、そうでない子どもと同じように、地域の学校で、他の友達と一緒に学び、成長する権利があるとされています
インクルーシブ教育のメリットとデメリット
- メリット
- 多様性への理解促進
- 異なる個性や能力を持った子どもたちが共に学ぶことで、お互いを理解し、尊重する心を育むことができます。
- 社会性の発達促進
- 共に活動することで、コミュニケーション能力や協調性を育み、社会性を身につけることができます。
- 自己肯定感の向上
- 障害のある子どもたちが、周りの子どもたちと同じように学び、活動することで、 자신감 や自尊心を育むことができます。
- 将来の選択肢の拡大
- インクルーシブな環境で育つことで、将来、社会へ積極的に参加していくための力を身につけることができます。
- 多様性への理解促進
- デメリット
- 適切な支援体制の不足
- 個別支援計画の作成や専門スタッフの配置など、質の高い教育を提供するための体制整備が追いついていない場合があります。
- 教員の負担増加
- 教員は、多様なニーズを持つ子どもたち一人ひとりに対応する必要があり、負担が増加する可能性があります。
- 理解不足による偏見や差別
- インクルーシブ教育に対する理解が不足していると、障害のある子どもたちへの偏見や差別が生じる可能性があります。
- 適切な支援体制の不足
インクルーシブ教育の実践例
成功事例の紹介
フィンランドでは、1980年代からインクルーシブ教育を推進し、世界でも先進的な取り組みを行っています。
教員養成課程においても、インクルーシブ教育に関する科目が必修化されており、教員の専門性向上に力を入れています。
他国のインクルーシブ教育事例
- カナダ
- 個別支援計画に基づき、必要な支援を学校と地域が連携して提供する体制を構築しています。
- イタリア
- 障がいのある子どもとそうでない子どもが共に学ぶためのカリキュラム開発や、教員の研修制度を充実させています。
日本国内での実践例の紹介
- ユニバーサルデザインを取り入れた学校づくり
- 校舎のバリアフリー化はもちろんのこと、学習環境や教材においても、すべての子どもにとって使いやすいように工夫されています。
- チームティーチングの実施
- 教諭と特別支援教育コーディネーター、あるいは外部の専門家などが連携し、チームで子どもたちの学習をサポートする体制が整いつつあります。
インクルーシブ教育における課題
現状の課題と障壁
- 教員の専門性不足
- インクルーシブ教育に対応できる知識やスキルを持った教員が不足しています。
- 支援体制の不足
- 個別支援計画の作成や、専門スタッフの配置など、質の高い教育を提供するための体制が十分ではありません。
- 社会全体の理解不足
- インクルーシブ教育に対する理解が不足しているため、障がいのある子どもたちへの偏見や差別が残っている現状があります。
解決策や改善方法
- 教員養成課程におけるインクルーシブ教育の必修化
- 将来、教員になる学生に対して、インクルーシブ教育に関する知識やスキルを習得させることが重要です。
- 教員への継続的な研修機会の提供
- 現職の教員に対しても、インクルーシブ教育に関する研修機会を継続的に提供していく必要があります。
- 専門スタッフの増員
- 特別支援教育コーディネーターやスクールカウンセラーなど、専門的な知識やスキルを持ったスタッフの増員が求められます。
制度的な対応の必要性
- インクルーシブ教育を推進するための法整備
- インクルーシブ教育を推進するための法的根拠を明確化し、国として積極的に取り組んでいく姿勢を示す必要があります。
- 財政支援の充実
- 質の高いインクルーシブ教育を実現するためには、人材育成や設備整備など、様々な面で財政支援の充実が不可欠です。
インクルーシブ教育と特別支援教育の関係
特別支援教育の目的と役割
特別支援教育は、障がいのある子ども一人ひとりの教育的ニーズに応じ、特別な教育的支援を行うことで、自立や社会参加を目指します。
両者の違いと共通点
- 違い
- 対象
- インクルーシブ教育はすべての子どもを対象とする一方、特別支援教育は障がいのある子どもを対象とします。
- 場所
- インクルーシブ教育は通常の学級を基本とする一方、特別支援教育は、通常の学級以外に、 特別支援学校や特別支援学級なども設置されています。
- 対象
- 共通点
- 子どもの可能性を最大限に引き出す
- どちらも、子ども一人ひとりの可能性を最大限に引き出すことを目指しています。
- 自己肯定感を育む
- どちらも、子どもたちが自信を持ち、自分らしく生きていけるように、自己肯定感を育むことを重視しています。
- 子どもの可能性を最大限に引き出す
特別支援教育の充実を図るための連携
インクルーシブ教育を推進するためには、特別支援教育の充実が不可欠です。
- 専門性の高い教員の育成
- 障がい特性に応じた指導方法や、個別の指導計画作成など、専門的な知識やスキルを習得した教員の育成が求められます。
- 特別支援教育コーディネーターの配置促進
- 学校と家庭、地域社会をつなぎ、障がいのある子どもたちの教育を支援するコーディネーターの役割が重要となります。
インクルーシブ教育推進のための方策
文科省の取り組みと支援
文部科学省は、インクルーシブ教育システム構築のためのガイドラインを策定し、全国の教育委員会や学校に対して、インクルーシブ教育の推進を呼びかけています。
地域社会との連携
- 地域住民への啓発活動
- インクルーシブ教育に対する理解を深めるための講演会やイベントなどを開催し、地域住民への啓発活動を進める必要があります。
- ボランティアの活用
- 地域住民をボランティアとして活用し、学校教育活動の支援や、障がいのある子どもたちの学習支援を行うことが有効です。
ホリスティックな支援体制の構築
教育委員会、学校、家庭、地域社会が連携し、子どもたち一人ひとりのニーズに応じた切れ目のない支援を提供できる体制を構築していくことが重要です。
教育現場における合理的配慮
合理的配慮とは、障がいのある人が、障がいのない人と平等に教育を受け、学校生活を送ることができるよう、学校において必要かつ合理的な範囲内で行われる調整措置のことです。
合理的配慮の具体例
- 学習環境の調整
- 車椅子でも移動しやすいように、教室の机や椅子の配置を変更したり、スロープを設置したりする。
- 教材の工夫
- 文字が読みづらい子どものために、拡大文字の教材や音声教材を用意する。
- 試験時間の延長
- 集中力が持続しにくい子どものために、試験時間を延長する。
教育現場での実施方法
合理的配慮を実施する際には、以下の点に注意する必要があります。
- 子どもの意見を聞く
- どのような配慮が必要なのか、子ども自身の意見を丁寧に聞き取ることが重要です。
- 保護者との連携
- 合理的配慮の内容や実施方法について、保護者と十分に話し合い、理解と協力を得ることが必要です。
- 関係機関との連携
- 必要に応じて、医師や心理士などの専門家とも連携し、適切な配慮を行う必要があります。
教職員に求められる専門性
合理的配慮を適切に実施するためには、教職員は障がいに関する正しい知識や理解を深め、個々の児童生徒の特性に応じた対応ができる専門性を身につける必要があります。
インクルーシブ教育の学びの環境
学習環境の整備
- バリアフリー化の推進
- 車椅子でも移動しやすいように、校舎内や学校周辺のバリアフリー化を進める必要があります。
- 学習スペースの多様化
- 集中して学習できるスペース、グループワークができるスペースなど、様々な学習ニーズに対応できるよう、学習スペースを多様化する必要があります。
ICTの活用法
- タブレット端末の活用
- 文字入力支援ソフトや音声読み上げソフトなどを活用することで、障がいのある子どもたちの学習をサポートすることができます。
- オンライン学習システムの導入
- 病気や障がいなどで学校に通えない子どもたちに対して、オンライン学習システムを活用することで、自宅でも学習を継続できるようにすることができます。
子ども一人ひとりに合った指導法
- 個別指導計画の作成
- 個別支援計画に基づき、子ども一人ひとりの学習進度や特性に合わせた指導を行う必要があります。
- 協働学習の導入
- 他の子どもたちと協力しながら学習を進めることで、コミュニケーション能力や協調性を育むことができます。
就労支援との連携
インクルーシブ教育から就労支援への流れ
インクルーシブ教育を受けた子どもたちが、卒業後も社会で活躍していくためには、就労支援との連携が重要です。
- 早期からのキャリア教育
- 小学校段階から、職業に関する基礎知識を習得したり、様々な仕事について学ぶ機会を設けるなど、早期からのキャリア教育が重要です。
- 職場体験学習の実施
- 中学校や高等学校では、実際の職場で働く体験を通して、働くことへの理解を深め、職業選択の幅を広げることが必要です。
学びの場と就労の場をつなぐ支援
- 関係機関との連携
- 学校、就労支援事業所、企業などが連携し、子どもたちの就労を支援していく体制を構築する必要があります。
- ジョブコーチの活用
- 就職後も、ジョブコーチが職場を訪問し、職場への定着を支援することで、長期就労を促進することができます。
地域との連携による就労可能性の拡大
- 地域企業への理解促進
- インクルーシブな社会の実現に向けて、障害者雇用への理解を深めてもらうための啓発活動が重要です。
- 地域社会における就労機会の創出
- 障がいのある人も働きやすい職場環境づくりや、新たな就労機会の創出など、地域全体で障害者雇用を推進していく必要があります。
インクルーシブ教育の未来
今後の展望と方向性
インクルーシブ教育は、単なる教育改革ではなく、社会全体の意識改革を必要とする取り組みです。
- すべての子どものための教育の実現
- 障がいのある子どもも、そうでない子どもも、すべての子どもたちが、それぞれの個性や能力を活かし、共に学び、成長できる社会を目指していく必要があります。
- 生涯にわたる学習の機会の保証
- 学校教育だけでなく、社会に出た後も、誰もが学び続けられるよう、生涯学習の機会を充実させていく必要があります。
地域社会における役割
インクルーシブな社会を実現するためには、地域社会全体で、障がいのある人を含め、すべての人が暮らしやすい環境づくりを進めていく必要があります。
- 共生社会の実現に向けた意識改革
- 障がいに対する理解を深め、偏見や差別をなくしていくことが重要です。
- 地域における支え合いの体制づくり
- 障がいのある人も、地域の一員として、安心して暮らせるよう、地域における支え合いの体制づくりを進めていく必要があります。
制度改革の重要性
インクルーシブ教育を推進するためには、制度的な裏付けが不可欠です。
- 関連法規の整備
- インクルーシブ教育を推進するための法整備を行い、国として積極的に取り組んでいく姿勢を示す必要があります。
- 財政支援の強化
- 質の高いインクルーシブ教育を実現するためには、人材育成や設備整備など、様々な面で財政支援の強化が不可欠です。
インクルーシブのまとめ
インクルーシブ教育は、障がいのある子どもも、そうでない子どもも、すべての子どもたちにとって、より良い教育環境を実現するための取り組みです
就労支援との連携を強化することで、子どもたちが、それぞれの個性や能力を活かし、社会で活躍できる未来を創造していきましょう。