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  2. [二度寝防止]発達障がいでも、意志に頼らず二度寝しない方法

発達障がいの二度寝防止法

更新日 2025/10/09
二度寝防止-サムネ

仕事、あるいは学校へ向かう朝。
「今日こそはちゃんと時間通りに起きよう」と固く決意して眠りについたはずなのに、けたたましく鳴るアラームを無意識に止め、気づけば二度寝…。「またやってしまった」と自分を責めてしまう朝、経験ありますよね。

「安定した生活リズム」は、安定した就労を目指す上での大切な土台です。特に、決まった時間に出勤するという「勤怠の安定」は、仕事の信頼関係を築く第一歩と言えるでしょう。

しかし、それが意志や気合だけではどうにもならない、と感じている方も多いのではないでしょうか。実はそれ、「やる気」の問題ではなく、脳の特性と朝の「目標設定」のミスマッチが原因かもしれません。

今回は、ADHDやASDなどの発達障がいの特性にもフィットしやすい、意志力に頼らない二度寝防止法をご紹介します。

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MEWS職員

MEWSは2023年12月8日に開所し、就労を希望する方一人ひとりに合わせたカリキュラムを作成し、就職活動までサポートしています。

MEWSは2023年12月8日に開所し、就労を希望する方一人ひとりに合わせたカリキュラムを作成し、就職活動までサポートしています。

二度寝のメカニズムと防止法

二度寝防止-朝起きれないメカニズムと防止法

「起きる」が難しい理由

そもそも、なぜ私たちは「よし、起きるぞ!」と強く思っても、身体が動かないのでしょうか。これには、脳の「実行機能」という働きが関係しています。実行機能とは、目標を立て、計画し、行動をコントロールする、いわば脳の司令塔です。

発達障がいの特性として、この実行機能の働きに凹凸があることが知られています。特に、目覚ましが鳴った直後の脳は、まだ十分に起動していません。そんな状態で「起きる」という、あまりにも抽象的な目標を自分に課してしまうと、脳の司令塔は混乱してしまいます。

「起きるって、具体的に何をすればいいんだ?」
「目を開けること?」「時計を見ること?」「布団から出ること?」

脳が複数の選択肢を前にフリーズしている間に、私たちは心地よい眠りの方へと引き戻されてしまうのです。さらに、「起きる=仕事や訓練が始まる=頑張らなくてはならない」というプレッシャーが、無意識のうちに「起きること」への抵抗感を強めてしまいます。

「起きる」ではなく「飲み物を飲む」と意識する

そこで、この高い壁を乗り越えるための、シンプルで強力な方法があります。それは、朝一番の目標を「起きる」から「(特定の場所にある)飲み物を飲む」にすり替えることです。

「アラームが鳴ったら、机の上のペットボトルのお茶を飲む」

これは非常に具体的で、行動が一つしかありません。脳は迷うことなく「お茶を飲む」というタスクの実行に集中できます。そして、そのタスクを達成するためには、必然的に「布団から出て」「机まで行く」という行動が伴います。

つまり、「飲み物を飲む」という小さな目標を達成するだけで、最大の難関であった「布団から抜け出す」という行動を、いつの間にかクリアできてしまうのです。これは、一つの行動(ドミノ)を倒すことで、次の行動を自動的に引き起こす「ドミノ倒し」のようなテクニックです。

最強の二度寝防止法・実践マニュアル

二度寝防止-最強の二度寝防止法

この方法の効果を最大化するには、前日の夜の「仕込み」が9割を占めます。未来の自分を助ける気持ちで、ぜひ試してみてください。

1.寝る前の「仕込み」:朝の判断をゼロにする

朝は、一日のうちで最も脳のエネルギーが少ない時間帯です。

その時間に「何を着ようか」「朝ごはんはどうしようか」といった判断をすると、それだけで脳は疲れてしまいます。

飲み物の準備

カフェイン入りのペットボトルのお茶などを一本用意しましょう。(カフェインが苦手な方は無しでも大丈夫です)

コーヒーを淹れる、など手間のかかることは不要です。私なら三日坊主になる自信があります。変に凝り過ぎず、とにかく「楽に続けられること」が最優先です。

通販やドラッグストアなどで箱買いしておくと、習慣化しやすくなります。

その他の準備

翌日に着ていく服を枕元に置く、カバンの中身を揃えておく、朝ごはんをタッパーに入れて冷蔵庫に用意しておく、翌日のスケジュール(特に朝一)を確認しておくなど、朝の「判断」を一つでも減らす工夫をしましょう。

2.魔法の距離:「ベッドから2メートル」に置く

用意した飲み物を置く場所が、成功の鍵を握ります。

枕元はNG

手を伸ばせば届く場所では、飲んだ後すぐにまた寝てしまいます。

遠すぎてもNG

部屋の反対側など、あまりに遠いと「面倒くさい」という気持ちが勝ってしまいます。

ベストな距離

ベッドから出て、2~3歩あるく距離が最適です。

自然と身体が「睡眠モード」から「活動モード」へと切り替わる距離感を、自分の部屋で探してみましょう。人によってこれっていう距離があるはずです。

3.視覚のトリガー:「見えないもの」は「存在しない」

脳は、目に見える情報を優先的に処理します。起きてすぐに視界に入らないものは、脳内で「存在しないこと」にされがちです。

必ず目に入る場所に

ベッドから身体を起こした時、まっすぐ目に入る机の上や棚の上などに、ペットボトルを置いてください。

それが「今日、最初にやるべきこと」を思い出させてくれる視覚的なトリガー(引き金)になります。

[まとめ]小さな成功体験が、就労への大きな一歩に繋がる

二度寝防止-小さな成功体験が就労への大きな一歩に

この方法の本質は、自分の特性を理解し、意志力や根性論で戦うのではなく、行動せざるを得ない「仕組み」で乗り越えることです。

「今日も時間通りに起きられた」

朝一番に得られるこの小さな成功体験は、自己肯定感を高め、「今日も一日、頑張れそうだ」という前向きな気持ちを生み出します。

この日々の積み重ねが、生活リズムの安定に繋がり、そして、遅刻なく職場に通い続けるという、社会人としての大きな自信へと成長していくのです。

もし、あなたが朝起きることに悩み、自分を責めてしまっているのなら、今夜、一本のペットボトルをベッドから少し離れた場所に置くことから始めてみませんか。

その小さな工夫が、あなたの明日を、そして未来を、大きく変えるきっかけになるかもしれません。

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